「宇田川さとし」の都議会における発言
東京都議会総務委員会速記録第三号 より抜粋

平成十八年三月十七日(金曜日)
第一委員会室
午後一時二分開議


〇宇田川委員 今回の首都直下地震による東京の被害想定中間報告を受けまして、私からも要望、意見等を含んだ形になりますが、質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 まず最初に、基本的な、根本的なことを教えていただきたいと思うんですが、首都直下地震対策専門調査会が想定したマグニチュード七・三に加えて、より発生頻度の高いマグニチュード六・九を想定に入れたことによって、より細かく対応していくという考え方、非常に有意義であると思いますし、ぜひ今後の対策に生かしてほしいと思っております。
 さて、過去三十年間にマグニチュード六クラスが南関東において十六回発生しているということですが、いずれもマグニチュード六・〇から六・七の範囲内でございました。今回想定した六・九という数字なんですけれども、六・五とか六・八でなく、六・九という数字に設定した意味合いをまずお伺いをしたいと思います。

〇中村総合防災部長 今、先生お話ございましたように、過去三十年間において南関東地域でマグニチュード六クラスの地震の発生状況を見ても、今後、マグニチュード六クラスの地震がより高い頻度で発生する可能性が高いというように考えております。
 そこで、想定におきましても、このマグニチュード六クラスの地震を取り上げたわけでございますが、都民の生命、財産に与える影響を考えますと、六クラスの中でも最も大きいという規模でございますマグニチュード六・九を採用したというものでございます。

〇宇田川委員 より甚大なる被害を想定したということですが、細部にわたっての想定を行っていただいて、ぜひ対応、対策へと結びつけていただきたいと思います。
 さて、被害想定の中で個別に幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
 一つ目は、都市型災害についてです。
 エレベーターの停止、閉じ込めや帰宅困難者など、大都市が持つ特有の被害について想定が行われておりますが、この資料に記載されている、その他という項目に入っているんですが、地下街の被災というのがございます。
 最終報告の結果はまだ出ていないところなんですが、その前に星印がついておりまして、定性的評価となっているんですが、この定性的評価というのはいかなるものなのか教えてください。

〇中村総合防災部長 被害想定につきましては、できるだけ、例えば建物が倒壊する量、全壊する建物の棟数とか、あるいは火災で延焼する棟数とか、そういうふうに数字であらわしていくということを基本にしてございます。
 これは被害の量でございますが、定性的評価とは、過去におきまして類似の事例がないことから、今申し上げました統計的な手法により、被害を量として算出できないために、起こり得る被害の程度を、仮定を置きながら、可能な限り数字も用いていきますが、主に記述で評価していくということを考えているものでございます。そのために定性的評価というふうに記載されております。

〇宇田川委員 過去の実績がないことによって、そうした定性的評価としたということなんですが、新宿の地下を縦横に広がる大地下街を初めとして、東京駅八重洲地下街ですとか、都心部のビルなんかは、商店街、レストラン街というのが地下にかなり広がっておりますし、いわゆるデパ地下なんて呼ばれるところとか地下鉄の駅なども含めると、これはもちろん時間帯にもよるんですが、相当なる人数の方たちが地震発生時に地下に存在することになると思います。
 であるとすれば、方法論、シミュレーションをするとかいろいろ、私も専門的なことはわからないんですが、よりきめ細かい被害想定が必要と考えているところですが、それについていかがでしょうか。

〇中村総合防災部長 地下街につきましては、これまでの都市部の地震でございます阪神・淡路大震災あるいは福岡県西方沖地震でございますが、これらの地震におきましても人的、物的被害というものが報告されておりません。そのために、人的、物的被害の量は算出できないと考えてございます。しかし、時間帯によっては地下街も非常に混雑しておりまして、そういう、人が集まっていることによってパニックが発生する可能性は否定できません。
 そこで、今回の被害想定ではさまざまな仮定を置きますが、その仮定の上で、定性的にこのパニックの発生から生じる被害状況というものについて検討しているものでございます。

〇宇田川委員 次に、大人数が集まっている可能性が高い、ホールとか劇場、競技場等、例えば東京ドームですとか武道館、ビッグサイト、国際フォーラムなどの大規模施設はいかがでしょうか。大人数が集まれば被害に結びつく可能性は大きくなると思いますし、今お話の中にあったパニック等の心配も考えられます。そうした施設における被害想定と対応はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

〇中村総合防災部長 大規模な集客施設では、地震が発生すれば、今お話がありましたように、パニックが起きる可能性もございます。
 しかし、今回の被害想定は、都や区市町村の震災対策を策定するために火災や家屋倒壊などの被害を算出しておりまして、個別の施設の被害というものにつきましては想定しているものではございません。
 これらの大規模施設につきましては、避難誘導の方法等については、基本的には施設管理者の責任において対応すべきものだと考えておりまして、これまでも、都としましては、消防計画や事業所防災計画の作成に当たり指導してきているところでございます。

〇宇田川委員 そういうことであれば、ぜひ指導を徹底していただきたいと思います。
 続いてなんですが、私の地元江戸川区のことで幾つか質問をさせていただきます。
 大河川と海に三方を囲まれた地勢の江戸川区は、ほかの区市町村と異なった危機感を持っております。鉄道や道路等の交通の被害は最終報告で結果が出るようですが、特に橋梁の被害想定についてどうなっておるのかを聞きたいと思います。
 昨日の予特質疑の中で、我が党の村上議員が、高速道路の高架や歩道橋といった建築物の落下等に対する耐震について質問をさせていただいたところですが、橋梁についての話がございませんでしたので、お伺いをしたいと思います。
 阪神・淡路大震災の際も、道路、鉄道等の遮断によって陸の孤島となって、被災後に支援がかなりおくれてしまった地域があったということを聞いております。陸続きでさえ孤立化する地域があるわけですから、橋梁に被害が出るということは、江戸川区にとって、江東区なども同様だと思うんですが、陸の孤島どころか、本当に島と化してしまう可能性があるということです。
 したがって、特に橋梁被害は、私どもにとっては大変重大な問題となります。それらの意味を含めての想定をお伺いしたいと思います。

〇中村総合防災部長 鉄道、道路の橋梁の被害でございますが、現在、その取りまとめの作業を進めている段階でございます。今月末には最終報告で報告する予定でございますが、都道のうち緊急輸送路に指定されている道路の橋梁でございますが、これにつきましては、阪神・淡路大震災後、耐震補強を行いまして、既に完了しているということで、安全性は高いと考えております。

〇宇田川委員 最終報告の結果を待つことといたしますが、我々のこの思いをぜひ反映していただいてということを期待いたしたいと思います。
 次に、水害についてなんですが、お伺いをさせていただきます。
 今申し上げましたように、水に囲まれた土地であるのに加えて、我が江戸川区、ゼロメートル地帯という性格を持っております。したがって、水害に対する危機感は非常に大きいものがございます。二月に行われた議員団によるニューオーリンズ視察における被害状況の報告ですとか、危機管理体制の不備などの指摘を受けて、危機感どころか、通り越して、もはや恐怖感というものを覚えるところでございます。
 地震による災害想定のお話ですから、台風や高潮とは性格が異なるとは思いますが、地震発生による津波の想定が今回の中にはございません。津波の可能性は全くないのでしょうか、お伺いをいたします。

〇中村総合防災部長 津波につきましては、昨年ございましたスマトラ沖のように、海溝で起きる断層のずれで、そこで海水が大量にのみ込まれることで発生するということでございます。
 今回の想定地震でございますが、東京湾北部地震につきましては、江戸川沖を震源としてございますけれども、この江戸川沖の水深は約十メートルぐらいということで非常に浅い水深でございまして、そこでは、今申し上げたような、大きな水がのみ込まれるというようなことはありませんので、津波が発生しないというふうにいわれております。
 また、東京湾全体で津波がないのかということでございますが、東京湾の湾域外でございますが、そこで発生した場合には東京湾にも津波の影響ございます。しかしながら、東京湾の形状と、それから、今申し上げました、水深が浅いというようなことなどから、東京湾の津波につきましては小さくなるということになります。例えば関東大震災のときに、津波でございますけれども、伊豆大島の岡田では十二メートルの津波になりましたが、その当時、東京湾に入ってきました津波では約六十センチぐらいでございます。
 昨年の国の被害想定でも、現在の東京湾に最大の津波を起こす地震として、東京湾の入り口付近を震源とする地震を想定してございますが、その津波でも五十センチ未満というふうに想定しております。

〇宇田川委員 津波の可能性ですとか、想定される高さが大被害の心配に当たらないというお答えなんですが、それでも私たちの危機感はなかなかクリアしないところがございます。
 江戸徳川の時代より、水害の際には、江戸城を中心に外へ外へ水が流れていくように設定をされてまいりました。隅田川、荒川、江戸川と、主要河川のすべては川の西側、つまり皇居に近い方の堤防がございますが、それよりも外側に当たる東側の堤防の方が低くつくられてまいりました。荒川、中川は、両岸の堤防の高さはほぼ同じに設定したようですが、厚みは東側の方が薄くなって、決壊するんなら東へ流せという状況でなってまいりました。つまり、地震に限らずなんですが、水が関係してくる災害で被害が一番大きくなる可能性があるのは、都内では江戸川区であることがいえると思うんです。
 伊勢湾台風並みの高潮が出た場合、今回でいえばカトリーナ級の台風に当たるんですが、江戸川区内のほぼ一〇〇%が水没してしまう、そういう報告を区からも受けております。また、現在進行中の耐震対策事業の中で、中川、江戸川の護岸の多くが緊急耐震対策箇所に指定をされておりまして、新中川等も耐震対策箇所と指定をされております。
 現在、国や都によって中川の一部で耐震補強工事が行われていましたり、江戸川も、今後の計画も含めてですが、スーパー堤防化が進められつつあるということがあったとしても、完成にはまだまだ相当な時間を要すると聞いております。
 たとえ数十センチの津波であったとしても、脆弱な堤防が地震によって亀裂を生じたりですとか、液状化によって決壊、崩壊した上で水が押し寄せてくることもあり得ますし、震災が起こった直後に台風が重なって訪れるということも考えられるわけですから、最悪の事態では、やっぱり水没による被害は免れることができないということになります。
 こうした事実を踏まえた中で、被害想定、被害対応は私どもにとって絶対に必要だと考えているんですが、いかがでしょうか。

〇中村総合防災部長 現在進められております耐震補強は、阪神・淡路大震災を契機に改めて点検した結果を受けて行っているものでございまして、液状化対策が主でございます。液状化が発生した場合でも堤防の損傷が起きないようにするものでございます。
 万が一、この耐震工事がまだ済んでいないところで地震の被害を受けたらどうなるかということでございますが、そこでは堤防に損傷が起きる可能性ございますが、堤防に損傷が生じましても、先ほど申しました五十センチ程度の津波では堤防を越えることはないというふうに考えられております。
 しかしながら、津波につきましては、この五十センチという津波でありましても普通の波と違いますので、海面に引き込まれるということがございます。そういうことがありますので、現在、この堤防の外と申しますか、海の方でございますけれども、非常に水に親しめる親水公園、葛西でありますと臨海公園のような公園ができてございます。そういう親水公園でお子さん方が遊んでいるというような状況もございますので、ここで津波が来た場合に、五十センチといえども引き込まれて亡くなるというおそれがございます。
 そのために、昨年二月に関係区、局と一緒に、ここでの津波対策、主にそういう危険を知らせる看板の設置や、あるいは警報を流す通報の装置、こういうものについて、それぞれの区や管理者で検討するということで協議をしたところでございます。
 それから、江戸川と中川の、先ほど申しました耐震補強でございますが、旧江戸川につきましては平成十八年度までに、また、荒川と並行する中川の下流部につきましては、平成二十年度までに耐震補強は完了する予定だというふうに聞いております。

〇宇田川委員 先ほども申し上げました予特質疑の中でも、村上議員の質問に対して、今、各局というお話がありましたが、建設局長、港湾局長ともに、堤防や水門などは全く大丈夫だと答弁をいただいておりまして、今まさに総合防災部長からお話を伺って、安心感が少し出てきたところではあるんですが、心配性なんで、大変申しわけないんですが、いま一度お伺いをしたいと思います。問題がないという認識でよろしいんでしょうか。

〇中村総合防災部長 私も土木の人間ではございませんので、土木の関係の建設局の方にも確認してございますが、現時点では、この地震で被害が起きるということはないということで、今回の被害想定でも、河川の堤防が決壊する、損壊をするということについては想定してございません。

〇宇田川委員 そうはいっても、想定外の大災害というのもあるわけですから、ぜひもしもの備えを怠らないように、改めてお願いをいたしたいと思います。
 皆さんお笑いになっても、非常にひ弱な区でありまして、周辺区といえども決して忘れることなく、しっかりと守っていただきたいと思います。
 最後に、一点お伺いをさせていただきます。
 今回発表された被害想定の結果を見ますと、震度想定面積、建物崩壊、半壊数、火災死者、負傷者数、ライフライン被害など、ほぼすべてにおいてなんですが、墨田、江東、足立、葛飾、江戸川といった城東地区において甚大なる被害が及ぶことが明白となっております。
 今年度予算において、足立区にハイパーレスキュー隊を新規配備するなどは、城東地区の災害に対して配慮の一端でありまして、現状において決して都心部との対策に大きな差が生じているとは思っておりません。しかし、被害想定の中で最も甚大なる被害をこうむることが表面化したわけですから、より力を入れての対策をしていく必要性があることも当然だと私は思います。被害想定も重要ですが、この想定結果を受けての対策がより重要になってくるのは周知のとおりだと思います。
 今申し上げましたことを踏まえて、今後の都としての震災対策に対する考え方をお示しいただきたいと思います。

〇中村総合防災部長 ご指摘のように、地盤の弱い区部東部でございますが、この地区は揺れも大きく、震度六強が観測されるというふうに想定してございます。そのために大きな被害が予測されておりまして、中間報告のデータではすべて分析することは難しいところでございますが、例えば昭和五十五年以前に建てられた旧耐震基準の建物が多い区では、震度六強を記録する面積が小さくても建物の全壊率が高いなどの結果が明らかになっております。
 また、区名を出すのははばかりますが、ちょっといわせていただきますと江戸川区でございますが、公園、道路率が他に比べて高いということがデータで出されております。それと焼失面積を比べていきますと、全面積に対する焼失面積の割合が他区に比べて小さいということも判明してございます。
 こういうように、いろいろどういう対策をとったらいいかということがそれぞれの区で違ってきますので、最終報告が出され次第、区市町村とも、地域特性を多方面から分析した上で、それをもとに対策を検討して、それぞれの区の優先的な対策は何かということも含めまして検討した上で、地域防災計画の見直しに反映させていきたいというふうに考えております。

〇宇田川委員 首都機能の確保が最重要であって、中心部の対策がきめ細かく行われるべきであるということは、総体的な中で当たり前に必要であると理解をしているつもりではございます。
 ただ、今申し上げたとおり、非常にか弱い地区なものですから、しつこいようですが、置き去りにすることなく、今回の報告を生かしていただいて、しっかりと対策につなげていただきたいことを強く要望をいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。