「宇田川さとし」の都議会における発言
東京都議会総務委員会速記録第十四号 より抜粋

平成十八年十月三十一日(火曜日)
第一委員会室
午後一時三分開議


〇宇田川委員 カネボウなどの企業におきまして、監査法人が粉飾決済に加担をしたために、結果として倒産をするという事態にまで追い込まれました。まだ記憶に新しいニュースかと思います。こういったことは地方自治体においても同様でありまして、監査という仕事は、一見地味で目立たない存在ではございますが、行財政運営のチェック機能として、その果たす役割は極めて重要であると考えております。
 東京都監査委員条例では、その第三条において、人格が高潔で、行政運営に関しすぐれた識見を有する者を監査委員として選任するということが明文化されております。
 ことしの第一回定例会における、当時監査委員であった我が党の樺山議員の報告は強く印象に残るものでございました。議員は、膨大かつ多岐にわたる都の行財政の執行状況について、強い使命感を持ち、ひたむきに監査に当たったことを切々と訴えておりました。こうした監査委員や、それを補佐する事務局職員の皆さんがこつこつと地道に努力をされ、責務を全うしているからこそ、公正で効率的な都政運営が確保されているんだということを改めて実感いたしました。
 さて、先日の事務事業説明の中で、法令に従って行われているかどうかという合規性の観点だけにとどまらず、経済性や効率性、有効性などの観点から監査を実施しているとの報告を受けました。社会的にも、企業におけるコンプライアンスの重要性が叫ばれておりますし、もちろん、行政においても法令を遵守して事務事業を執行していくのは当然のことであります。
 しかしながら、現在の都の行財政運営に強く求められているのは、経営という視点に立つことでございます。したがって、先ほど申し上げた経済性、効率性、有効性などの観点を重要視して検証していくことは、まさに時代の要請にかなったものであると高く評価をしているところです。
 そこでお尋ねをいたしますが、平成十七年の各種監査における二百件を超える指摘のうちで、経済性などの指摘はどの程度あったのか、また、代表的な事例があれば、その説明もあわせてお願いをしたいと思います。

〇皆川参事 経済性等の指摘と代表的な事例についてでございますが、平成十七年度における指摘等の合計は二百十四件ありました。そのうち、経済性等の観点からの指摘等は五十五件でありまして、割合では約二六%となっております。
 指摘事例の一例を申し上げますと、経済性の観点では、都立高校のパソコン教室におけるOAフロア等が、リース期間終了後も低価格で活用できるのに、新品に取りかえ、一校当たり六百万円程度が不経済支出となっているものなど、また、有効性の観点では、事務所敷地内に来客用の駐車スペースが十分確保されているのに、好立地にある売却予定地千二百二十五平方メートルを来客用駐車場として使用しており、土地が有効に活用されていないものなどがございました。

〇宇田川委員 果たして法令にのっとっているのかという合規性については、ある程度の法令知識を持っていれば比較的容易に指摘できるのかなとは思いますが、一方で、経済性等の観点による指摘は、判断基準をどこに置くのかといった困難な点もあるのではないでしょうか。
 しかし、監査委員監査の役割を適切に果たしていくためには、経営の視点から都の行財政運営をチェックすることが必要でありまして、経済性などの指摘をさらにふやすべく取り組んでいくことが求められているところでございます。そうしたことが結果として監査委員監査の存在意義を高めていくことにつながるのではないかと考えております。
 ところで、本年度から新公会計制度が導入をされまして、ようやく一般企業並みに財務諸表が作成されることとなりました。自治体経営の確立に向け第一歩を踏み出したわけでございます。この新公会計制度を導入したことが監査にとって今後どのような影響を及ぼすとお考えなのか、所見をお伺いいたします。

〇皆川参事 今後の監査への影響についてでございますが、新公会計制度の導入に伴いまして、給与関係費などの共通経費を事業ごとに案分して配付することや、複数年度にわたる施設整備などの全体支出額の把握が容易になるなど、事業活動に伴うコストが明確になります。これらは経済性や効率性、有効性の観点からの監査に重要な情報として活用できるものと考えております。

〇宇田川委員 新公会計制度の導入は、経済性などの監査を強化する絶好のチャンスだと思います。もちろん、この新公会計制度を適切に運用していくことに意識を注ぐ必要もありますけれども、この機会をとらえて、より一層強化すべきだと思います。今後どのような取り組みをしていこうと考えているのか、お伺いいたします。

〇皆川参事 今後の取り組みについてですが、新公会計制度の導入に対応し、経済性や効率性、有効性の観点を重視した監査を着実に実施するために、すべての職員が新たな会計方式に基づく監査を行えるよう、専門研修を実施しているところでございます。また、事務局内に研究会を設置いたしまして、新公会計制度に対応した監査手法を検討しているところでございます。
 さらに、今後は公認会計士を任期つき職員として採用を予定しており、その公認会計士が有する民間における監査のノウハウを職員に習得させるなど、職員の専門性を一層高めていく所存でございます。

〇宇田川委員 自治体の監査制度としては、外部監査というのもございます。しかし、あくまでも監査委員監査が基本でありまして、中心的役割を果たさなければならない、このことはいうまでもないことだと思います。今後とも、この監査委員監査がその役目をきちんと果たしていくためには、新公会計制度導入を好機ととらえ、経済性はもちろんですが、効率性、有効性などの観点による監査を充実させていくことや、その専門能力を高めていくことは極めて重要だと考えます。
 現在も多くの努力を積み重ねていただいているとは思いますが、監査のなお一層の充実が必要だと感じます。今後に向けた局長のご決意をお伺いさせていただきまして、私の質問を終わります。

〇白石監査事務局長 監査のより一層の充実についてでございますけれども、地方自治体行財政をめぐる厳しい環境、それから、他の自治体において不祥事が発生している中で、都民は公正で効率的な都政の執行を強く願っているとともに、都政運営に厳しい目を向けているというふうに考えております。
 その中で、委員のお話のとおり、監査委員監査の果たす役割はより一層大きくなってきております。私は、監査委員を補佐する事務局のリーダーといたしまして、事務局職員の専門性の向上に努め、新しい公会計制度導入に伴い得られるコスト情報やストック情報を最大限に活用いたしまして、経済性、効率性、有効性の視点からの監査の一層の充実に力を尽くしてまいりたいと思っております。