「宇田川さとし」の都議会における発言
東京都議会総務委員会速記録第十四号 より抜粋

平成十八年十月三十一日(火曜日)
第一委員会室
午後二時四十七分開議


〇宇田川委員 災害対策について幾つか質問をさせていただきます。
 東京都はことしの五月に首都直下地震による新たな被害想定を公表いたしました。多くの死傷者や倒壊家屋など大規模な被害が生じることが予想されておりますし、都市型災害といわれるエレベーター閉じ込めや地下街の被災、大量の帰宅困難者が発生するとの予測もあったわけでございます。
 また一方で、近年の異常気象、地球温暖化などの影響で集中豪雨などによる災害も頻発しております。地震も水害もいつ起こるか予想はできませんが、いつ起こってもおかしくない、そんな状況であることに異論はないと思います。
 去る七月、防災議連の一員として、東京都立川地域防災センターも併設されました立川防災基地の視察をしましたが、着々と整備が進んでいることを実感させていただきました。各地では、住民の皆さんが積極的に防災訓練に参加をされております。都民の皆さんの生命と財産を守ることが我々に課せられた最も重要なる使命と改めて認識をしまして、より一層、早期に対策を充実させていかなければならない、そう思っております。
 まず初めに、地震対策について伺います。
 首都直下地震による東京の被害想定が取りまとめられましたが、その想定に基づき、対策に結びつけていくことが肝要でございます。都は、地域防災計画を抜本的に見直すこととしておりますが、現在、どのような検討が行われているのかを伺います。

〇石野総合防災部長 都は、本年五月の防災会議におきまして、首都直下地震の新たな被害想定の作成、また、新潟県中越地震や千葉県北西部地震などの実災害の教訓、さらには国の首都直下地震への新たな対策などを踏まえまして、地域防災計画を抜本的に見直すことにいたしました。現在、安全な都市づくりや地域防災力の向上、外出者対策などの課題につきまして、関係各局、区市町村、防災機関などで構成します十の部会を設置いたしまして検討を進めているところでございます。
 検討に当たりましては、まず第一に、被害想定に基づきまして優先順位をつけた予防対策を推進すること、二点目としまして、災害発生後の時間経過に応じまして的確かつ効果的な応急復旧対策を講ずること、さらに三点目といたしまして、国の減災目標を踏まえ、都としての減災目標を新たに設定するということを基本としております。
 今後、部会の検討結果を踏まえまして、来年一月には地域防災計画の素案を策定する予定でございます。

〇宇田川委員 ぜひ実態に沿った、きめ細かい計画策定をお願いしたいと思います。
 さて、震災時には迅速かつ的確なる対応が求められます。パニックなどの人的災害や二次災害防止のためです。そのためには、さまざまな状況に応じた、都民が必要とする情報を提供することは非常に大切なことでございます。
 今年度の重点事業として災害情報提供システムを構築するようですが、どんなシステムであり、いつごろから提供を開始する予定なのか、お尋ねいたします。

〇石野総合防災部長 震災時には、都民がどのような場所、状況にありましても、適切な判断や行動をとれますよう、発災直後から、その時々に応じまして必要とする情報を提供していることが重要でございます。このため、災害情報提供システムを現在開発中でございますが、このシステムの基本的な仕組みとして、まず、都民が在宅であっても外出先であっても情報を受け取れること、また、パソコンや携帯電話で直接アクセスできること、さらにパソコンや携帯電話を所有していない場合でも、避難所であるとか帰宅支援ステーションなどにおいても情報入手ができると、そうしたシステムとしております。
 また、提供する情報といたしましては、発災時には地震情報や都内各地の被害状況など、その後は道路や鉄道、ライフラインの復旧状況、避難所の開設状況などを考えております。
 このシステムによりまして、都民や帰宅困難者の混乱防止であるとか、避難、誘導、徒歩帰宅支援などに有効に活用できるものと考えております。本年度末からの一部稼働を目指しまして、現在、情報内容や画面構成などの詳細について詰めているところでございます。

〇宇田川委員 この情報提供の役割は、初動対応に大きく寄与するものであり、大変意義のある事業であると受けとめております。このシステムに大いに期待をしているんですが、せっかくすばらしい機能を構築しても、一般に知れ渡らなければ何の意味もありません。広く都民の皆さんに知らしめるための施策とともに、より使いやすい、わかりやすいシステムとしていただくよう要望をしておきます。
 被害想定では、被災者のうち四百万人を超える人たちが避難所生活を余儀なくされると見ております。しかし、収容できる避難所の数は圧倒的に不足するであろうともいわれております。
 こうした状況の中で、今月十七日の新聞記事にあったんですが、江東区は大手スーパーの立体駐車場を避難所として使えるよう協定を結んだ、ですとか、港区ではホテルなどの施設と支援協定を結び、高齢者や障害者を受け入れてもらうよう計画しているとの報道でありました。また、国の中央防災会議においても、収容人員の大幅削減のために疎開や帰省の検討も行われている、こういったことも報じられておりました。
 立駐やホテルへの受け入れ、疎開や帰省といっても、多くの課題が残されているだろうとは思いますけども、加えて、避難所は区市町村が設置することにもなっております。しかし、国や区が検討を進めているのと同様に、都としても避難者対策を講じるべきと考えます。どのような取り組みを行っていくのかをお伺いしたいと思います。

〇石野総合防災部長 今回の被害想定におきましては、建物被害の程度を罹災証明の区分に基づきまして算定するとともに、電気、水などのライフラインが使用できなくなり、避難せざるを得ないという人などを加えまして、より実態に即した想定を行っております。このため、前回よりも避難者が増加しまして、これまでの避難所では十分に収容できなくなることから、新たな避難所の確保や避難者数の抑制など、避難者対策を充実する必要が出てきております。
 避難所につきましては、設置者であります区市町村が、民間施設の活用などを含めまして多様な手段で確保することになりますが、都といたしましても私立学校や体育館、集会所を所有します民間事業者などに対しまして、避難所として提供を積極的に働きかけ、市区町村の避難所確保を支援してまいりたいと考えております。
 また、多くの区市町村では相互の応援協定を締結しておりますが、都といたしましても、発災後に避難所が不足した場合には、区市町村と連携して、受け入れの調整を行いたいと考えております。
 その一方で、避難者数を抑制するため、建物の耐震化、不燃化を促進する必要がございますので、その促進とともにライフライン事業者に対し、施設の一層の耐震化と早期復旧体制の整備を働きかけていきます。
 今後とも、区市町村や関係機関と連携いたしまして、避難者対策の推進に努めてまいりたいと思います。

〇宇田川委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、風水害対策についてお尋ねをいたします。
 近年、頻発している局所的、突発的集中豪雨などへの対応を図るため、平成十四年に修正をいたしました都の地域防災計画風水害編を改めて見直しを行うとしております。八百ページに及ぶような分厚いものでして、かなりの情報量があり、きめ細かく記載されております。現状把握に始まり、予防計画、災害対応、復興計画に至るまで、区部東部の低地帯から多摩山間部、中心部の都市型災害や島しょ部、そういった地域性にも沿ったものでありました。当時と比べ、ハード整備は着々と進められておりますし、日を追ってソフト面も進化、充実していることと思います。そうした中で、今年度に見直すことに至った経緯を伺いたいと思います。

〇石野総合防災部長 近年、地球温暖化や、また都市におけますヒートアイランド現象などによりまして、都市部では局所的、突発的、短時間に発生する集中豪雨が頻発しております。また、都市構造の変化があり、河川の溢水や内水はんらんなど都市型水害が増加しております。
 その一方で、現行の地域防災計画風水害編でございますが、台風、高潮など事前の予想や準備が可能な災害への対策が中心となっておりまして、局所的、突発的、短時間に発生する集中豪雨に対しましては必ずしも十分なものとはなっておりません。このため、集中豪雨への対策を充実させる必要があることから、都の防災会議におきまして、地域防災計画の風水害編につきましても見直しすることといたしました。

〇宇田川委員 続いて、広域防災についてお尋ねをいたします。
 大災害が発生した際は、都のみならず広域防災が非常に重要と考えております。首都圏を構成する八都県市においては、広域防災危機管理対策会議を組織し、協定を締結していると聞いております。この相互連携を進める中で、これまでどのような取り組みを行ってきたのかをお尋ねいたします。

〇石野総合防災部長 首都圏で首都直下地震等が起きた場合には、東京都のみならず、近隣の県市にも大きな被害が発生し、救出救助活動にはかり知れない支障が生ずるということが考えられます。このため、八都県市では八都県市災害時相互応援に関する協定を締結しまして、さらにこの協定に基づいて共通の行動指針としまして八都県市広域防災プラン震災編を定め、情報連絡や応援調整体制の整備を図ってまいりました。また毎年、八都県市合同防災訓練におきまして、緊急支援物資輸送や帰宅困難者対策訓練などを行いまして、協定やプランに基づく応援について検証を行っております。そうした中で、実災害に備えた連携の強化に努めているところでございます。
 一方、大型台風であるとか、集中豪雨の発生による大規模水害のおそれも指摘されております。八都県市におきましても、大規模水害に備えた八都県市広域防災プラン風水害編を現在策定中でございます。

〇宇田川委員 おっしゃるように、この協定、取り組みの実効性を高めていただくように、また強化に努めていただくようにお願いをいたします。
 水害であっても地震と同様に広域に被害が出るといったおそれは否定できません。広域に被害が及べば、都県境を越えるような避難体制の確保なども当然必要となります。防災プラン風水害編では、広域避難について、どのような位置づけをしているのか、お尋ねをいたします。

〇石野総合防災部長 アメリカを襲いましたカトリーナであるとか、また伊勢湾台風級の大規模水害が首都圏を襲った場合に備えまして、現在策定中の八都県市広域防災プラン・風水害編におきましては、広域避難対策を含めました八都県市相互の応援体制を定めることとしております。
 被災住民の、都県境を越えました広域避難につきましては、まず八都県市に及ぶ大規模な災害が発生するおそれがある場合には、注意報の発令段階から八都県市が共通の準備行動をとりまして、速やかな情報連絡体制を確立すること、また、浸水の被害に応じまして、避難者の受け入れ体制を確立すること、さらには災害発生時に被災都市圏へ食料や毛布などの緊急物資を広域搬送することなどを共通の行動指針として位置づける予定でございます。プランの策定後は、各都県市におきまして、その具体化を図ることになります。

〇宇田川委員 これまでの都の地域防災計画では、こうした広域避難について触れられてはいなかったんですね。大規模災害においては、都県相互の広域連携が不可欠でございます。
 今回の見直しに当たって、こうした広域避難体制についても盛り込んでいく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

〇石野総合防災部長 現行の地域防災計画風水害編でございますが、都の地域における災害対策が基本でありまして、広域的な医療搬送であるとか物資の支援などの応援体制については定めがございますが、地域住民の都県境を越えた広域避難については記載してございません。
 荒川や利根川などの大河川が決壊した場合には、東京都のみならず、近隣県にも大きな被害が生ずることが予想されます。先ほども申し上げましたとおり、現在そうしたことを背景としまして、八都県市広域防災プラン風水害編を策定中でございます。プランの策定後は、広域避難対策として都と区市町村との連絡体制や、他県市との調整の仕組みを地域防災計画風水害編に盛り込んでいく考えでございます。

〇宇田川委員 台風による大雨、上流部での集中豪雨などにより荒川などの大河川の堤防決壊などがあった場合、被災者が百万人を超えるという予想もございます。そんな大規模災害が発生した際、私の地元、上野委員の地元でもあるんですが、江戸川区は、区内で避難可能な場所は小松川の一部と葛西臨海公園の一部だけです。このごくわずかな土地以外はすべて水没すると予想されております。
 隣接の江東区や墨田区、葛飾区なども被害状況は同様なわけですから、住民の多くは千葉県に向かって避難するほか手だてがないことになります。したがって、千葉県との連携体制の確立は、わが江戸川区にとって命綱といっても過言ではございません。都としての水害対策をしていただくことはもちろんのことですが、広域的な対策のなお一層の充実強化を強く要望させていただきます。
 以上です。