「宇田川さとし」の都議会における発言
東京都議会総務委員会速記録第十五号 より抜粋

平成十八年十一月二日(木曜日)
第一委員会室
午後一時二分開議


〇宇田川委員 アジア大都市ネットワーク21についてお伺いいたします。
 現在のアジアは、世界の中で六割の人口を有し、経済成長においてもアメリカやEU諸国をしのぐ勢いを見せております。昨今の北朝鮮問題が世界に大きな波紋を広げていることを別にしても、我が国はもとより、アジア地域の各国が国際社会においても重要な地位を確保し、存在感を示してきていることに異存はないと思います。
 そうした背景の中、アジア地域の首都及び大都市が、新技術開発、環境対策、産業振興など共通の課題に取り組むため、異なる政治的立場を乗り越え、共同して事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくことを目的として立ち上げたのが、このアジア大都市ネットワーク21でございます。
 石原都知事も本年の第二回定例会におきまして、アジア地域の大都市が強固に連携することにより、世界に対してアジアのプレゼンスを高め、二十一世紀がアジアの時代であることを鮮明に示していきたい、こう力強く語っておりました。現在、そして将来に向けて、各主要都市が密接にネットワークを結び、相互発展に寄与し、国際社会における確固たる地位を築き上げ、EU同様の発言力を高めていくべきとの考えには、私も大いに賛同するものであります。また、東京がそのイニシアチブをとり、リーダーシップをしっかりと発揮することにより、各種取り組みの成果を着実に上げていくことを期待しております。
 そこでお尋ねをいたしますが、改めて、アジア大都市ネットワーク21の理念がどのように結実しているのかをお伺いさせていただきます。

〇中村参事 アジア大都市ネットワーク21は、二十一世紀においてアジアが国際社会でより重要な役割を担うことを目指し、アジアの頭脳部、心臓部である大都市の連帯と協力を強化することを目的として設立されました。
 毎年開催される総会では、アジア各国をリードする大都市の首長が、その時々の喫緊の課題について議論を深めることにより、国だけでは解決できない課題に共同して取り組む素地がつくられるとともに、アジアの一体感を醸成しております。また、危機管理ネットワーク、アジア遠隔教育プロジェクトなど十八の共同事業の具体的な取り組みを通して、現場レベルでの情報交換が活発に行われ、協力体制が築かれるなど、都市と都市とのネットワークが一層強固になってきております。

〇宇田川委員 今のご答弁の中に十八の共同事業が行われているというお話がありましたが、個別に幾つかお尋ねをいたします。
 今お話があった危機管理ネットワークを推進していくという事業であります。北朝鮮におけるミサイル発射実験や核実験などの暴挙によって、アジア地域の緊張感は一層高まりを見せてきております。ほかにも、近年の異常気象による自然災害へのおそれや大規模テロなどへの不安は募るばかりです。近年報じられてきたSARSや鳥インフルエンザなどの感染症が流行したことを受け、アジア感染症対策プロジェクトを立ち上げたり、本年九月に行われた都の総合防災訓練において、ソウル市のレスキュー隊が参加しての合同訓練が行われたことなどは、この危機管理ネットワーク事業の一環であると伺っております。
 安全・安心への関心が非常に高まっている今日、こうした事業への期待は膨らむ一方であります。今後ますます強化していくべきだと考えますが、これまでの成果とこれからの方向性、今申し上げた事業強化への取り組みなどがありましたら、教えていただきたいと思います。

〇中村参事 アジアの大都市は、テロや自然災害などさまざまな危機にさらされており、十一の全会員都市が危機管理ネットワークに参加するなど、危機管理に関する各都市の関心は非常に高いものとなっております。
 危機管理ネットワークでは、災害発生時の情報連絡手段として、インターネットを活用した危機管理連絡網を整備するとともに、会議を毎年開催し、各都市の危機管理に関する先進事例の紹介や情報交換を行っております。
 ご指摘のとおり、本年九月の総合防災訓練では、この危機管理ネットワークを通して、海外から初めてソウル特別市のレスキュー隊が参加して合同訓練を行いましたが、このことにより、災害時における国際協力がいかに有意義であるかを確認することができました。
 今後は、危機管理連絡網による情報通信訓練の実施や各都市が実施する災害訓練へ相互に参加することなどを通して、都市の連携をさらに深め、アジア地域における一層の安全の確保に取り組んでまいります。

〇宇田川委員 一層強化をしていただきたいと思います。
 次に、アジア遠隔教育プロジェクトについて伺います。
 この事業は、都市間の教育交流などを通じて、人材育成や労働力の国際化への対応、教育関連産業の振興などを図るために実施されているものです。具体的な取り組みはまだ実験段階の域を脱するところまで来てない、そんな印象なんですが、相互の文化交流などにも役立つ大変意義のあるものだと受けとめております。
 将来に向けての我が国において、少子高齢化に伴う労働力の減少は深刻な社会問題です。介護士などの人材を海外から積極的に受け入れるべきではないか、そうした議論も活発になされております。そうした課題の解決のためにも、充実した事業展開がなされることを望んでおります。
 そこで、このアジア遠隔教育プロジェクトの成果並びに今後目指している計画などをお伺いいたします。

〇中村参事 アジア遠隔教育プロジェクトでは、時間的、地理的制約を受けない有効な学習手段として、インターネットなどの情報通信技術を活用した教材の開発や配信実験を行ってまいりました。この配信実験の成果を踏まえ、本年九月から、首都大学東京から台北に向かってテレビ会議やインターネットを利用した日本語講座を本格的に開始したところ、応募者が多数集まるなど、高い評価を受けております。今後さらにハノイやシンガポールに向けて講座の拡大を計画しております。
 また、アジア各都市の大学間において、大都市に共通する課題の共同研究を行っておりますが、その中に遠隔教育の手法を取り入れることで、研究が活性化する動きも見られます。今後とも、これらのプロジェクトを通してアジアにおける人材の育成に貢献してまいります。

〇宇田川委員 さまざまに拡大をしていただいて、有意義な事業になるように進めていただきたいと思います。
 このアジア大都市ネットワーク21、昨年の北京脱退により若干のとんざがあったんですが、ことしも四月に台北市で総会が開催されまして、より密接な連携と実のある議論がなされたというふうに聞いております。私も同時期に自民党日台友好議員連盟の一員として台北へお伺いいたしまして、展示会場にも足を運びました。大変なにぎわいで、成果の一端に触れた思いがいたしました。
 その台北総会における共同宣言では、ITの活用による機能の充実と市民サービスの向上について合意があったというふうに伺っているんですが、この共同宣言を踏まえて、新たに取り組んでいくべき共同事業の検討などが行われているのであれば、お伺いをしたいと思います。

〇中村参事 台北総会では、ITの活用について、市長による直接討議が行われ、ICタグを利用した観光案内など、各都市からさまざまな事例が報告され、活発な議論が行われました。総会の共同宣言では、ハード、ソフトにわたるアジアの高い情報通信技術のポテンシャルを生かし、市民レベルまで情報通信技術の効果を享受できるようにしていくことを確認いたしました。この宣言を受け、今後、先端的な情報通信技術の活用などを検討するために、各都市の代表や専門家が参加する新たな共同事業を立ち上げる予定です。
 このように、新たな課題に対応していく一方で、これまで行ってきた事業についても、時代の推移に合わせて見直しを行い、アジア大都市ネットワーク21の活動を一層活性化することにより、各都市の連帯と協力を深めてまいります。

〇宇田川委員 冒頭申し上げたんですが、アジアは今や国際社会において大きな注目の的となっております。その意義をとらえているからこそ、各都市が連携を強固にし、友好性ある共同事業を推進してきたということだと思います。
 危機管理、教育といった分野のほかにも、今月知事がシンガポールに行って議論をするようなんですが、中小型ジェット旅客機の開発促進ですとか、ウエルカムアジアキャンペーンと題した各都市間の観光促進協力、自動車排ガス対策やヒートアイランド対策などなど、多岐にわたる分野での共同事業を展開しておりますが、その一つ一つに着実なる成果を上げられるよう力を尽くしていただきたいと思います。
 加えて、国際都市東京がアジア地域のトップランナーとしてその役目を全うしていくことを願っております。
 今後も、このアジア大都市ネットワーク21が、アジアにおいてはもちろんでございますが、世界をも牽引するような発展を遂げていただき、国際社会の平和と繁栄に大きく貢献するといったワンランク上の目標を掲げていただいて、それを目指して力強い前進を続けていただくことを期待させていただきます。
 以上です。